高音の質:40
中音の質:45
低音の質:35
細やかさ:45
迫力:30
音場:40
遮音性:45
音漏耐性:45
<音>
「か弱さ」と「優しさ」が織り成す内気な天使の声音
<良い点>
●ユニバーサルIEM型としては比較的小さめで軽い 装着感は抜群
●ケーブルが太さに反してとてもしなやかで取り回ししやすい 映える白銀色もグー
●付属イヤピいっぱい キャリングケースもハードな作りで好印象 飯塚麻結氏のポストカードもついてくる(らしい 自分のは中古なので付属してなかった 残念、、、)
●受け身スタンスで奏でられる胸キュンサウンド 「か弱さ」と「優しさ」の2つに全振りしたようなサウンドキャラクターを持っていて、他イヤホンの音楽の聴かせ方とは一線を画す しっとりとした雰囲気を漂わせる曲や、か弱い声質のボーカル表現にアホみたいに強い か弱い声を本機で聴くと高確率で心を射ぬかれて胸キュン、重症の場合は吐きそうになる(笑) "Affinity"(親しみ、親和性の意)の名を冠するに相応しいサウンド(但し本機の名称の由来は同名のカクテルらしい メーカー側は言葉の意味をあまり意識してないのかも) 全く聴き疲れしないのも高ポイント
●DD単発機としては中~高域が上品で解像度が高い 音に圧がないので、ゆったりとした雰囲気の中で優しくて上品な中~高域を存分に楽しめる
<悪い点>
●全域で音圧が平坦で抑揚がない上に圧自体も決して強くないため、音の説得力(聴き手に音を聴かせようとする力)の弱い受け身スタンスの音になっている 別の言い方をすれば、リスニング感に乏しい音 「弱さ」で音を飾っているので、飾り気のないナチュラルな音とはまた違う メッセージ性の無い虚無の音に聴こえやすく、悪い部分だけが目立ちやすい 正統派リスニングサウンドの対極にいるような難しい音だが、それこそ本機の唯一無二の個性でもある 聴き手の解釈次第とも言える
●本機の音のキャラクターと楽曲が喧嘩しやすい 特に低音のアタック感やグルーヴ感の弱さが楽曲のノリを損ねてしまう傾向が強い また特性的に女性ボーカル優位で、男性ボーカルだと声気が弱まりやすい 本機の音の弱さがリスニングで不利に働くこともそれなりにあるため注意が必要
<総評>
「聴いて!」ではなく「聴いてくださいませんか...?」というスタンスの内気なイヤホン 音が大人しいというか説得力が弱く、分かりやすい良さみたいなものをほとんど感じられない だが本機の音に意識を傾ければ、聴き手を自身の音で懸命に癒そうとする親愛の念がそこにある 見方を変えると、この「主張の弱さ」こそが本機の突出した個性である 聴き手が積極的に感じ取ろうとしないと悪い所しか目立たない難しい音であるし、割と曲との相性差が大きな音であるのも事実なので、不評が多くなるのは正直無理もない
だが自分はこういう明確なキャラクターを持った音が凄く好きで、コスパは特段優れているとは思わないが、この価格帯のイヤホンの中ではトップクラスに気に入っている いや、正確には、本機を他のどのイヤホンよりも好きになろうとしている そんな心を惹き付ける魔性が、内気な本機の中に秘められている もしこの内気な天使からの小さな親愛を音から感じ取ってもらえたなら、それは本機が心から好きであることの証明である 本機の音から同意を求められ、それに同意した瞬間に生まれる赤い糸のような関係性、それこそが本機の名である"Affinity"(親和性)の正体なのかもしれない
世…