

「ワイヤレスイヤホン」や「ワイヤレスヘッドホン」など、最近は特に「ワイヤレス」という言葉をメディアや日常で耳にすることが多くなってきました。
多くの方が持つイメージとしては、
・Bluetoothで簡単に接続して音楽が聴ける
・線がなく使いやすい
といった手軽さや使い勝手の良さが主なポイントとして認識されているのではないでしょうか。
ですが、実はワイヤレスには音質に変化を与える要素や、低遅延に対応した機能など、意外と知られていないけれど知っておくと「へぇ!」と思える知識も詰まっています。
この記事では、そうしたワイヤレス機器の中でも、主に遅延や音質に関わる「コーデック」というスペックについて詳しく解説していきます。一度知っておくと、今後のオーディオ選びにもきっと役立つ、専門用語やスペックの情報をたっぷりご紹介していきます!
ワイヤレスイヤホンどうやって選ぶ?
そもそもコーデックってなに?

Bluetoothで音声データを送る時そのままではデータ量が多いのでデータを圧縮して伝送します。
コーデックとはBluetooth通信において音声を圧縮する方式の名前で、主に遅延と音質に関わります。
細かく分けていくと、おおよそ8種類ほどのコーデックが存在します。
さらにそれぞれのコーデックがどういったスペックを持っているのか、もう少し詳しく解説していきます!
サンプリング周波数/ビットレート
ワイヤレス製品やコーデックのスペック表で「192kHz/24bit」みたいな数字はみたことありませんか?
これは「サンプリング周波数/ビットレート」の値を示していて音質のスペックを表している数字です。
サンプリング周波数
サンプリング周波数とは、1秒間に情報サンプル(録音データやもとの楽曲)を計測している回数のことを指します。サンプリングレートともいわれます。
サンプリング周波数を表すのに用いられる単位は「Hz(ヘルツ)」「1Hz=1秒間に1回サンプリングしている」ということになります。例えばCD音源だと44.1kHzなので1秒間に44,100回サンプリングしています。
Hzとは、周期的な現象の頻度を表す単位でその現象が毎秒何回起きるかを示した周波数や振動数の単位です。
この周波数を表す単位は小さい方から順にHz(ヘルツ)<kHz(キロヘルツ)<MHz(メガヘルツ)<GHz(ギガヘルツ)
「1Hz=毎秒1回」を表しているので、「44.1kHz」なら「44.1kHz=毎秒44,100回」を表します。

サンプリング周波数は主に波形で表されます。
上記左の図のようにサンプリング回数が少ないとカクカクした波形になってしまいます。厳密にいえばある程度補正がかかるので音が抜けてしまうほどではないですが滑らかな波形と比べると原音の再現度は下がってしまいます。
上記右の図をみてもらうと、点が多い方が波形が滑らかなのがわかりますね。
1秒間にサンプリングする回数が多ければ多いほど滑らかな波形が描けるのでより原音を正確に再現することができます。
ビットレート
ビットレートとは1秒間に送受信できるデータ量のことを指します。
ビットレートを表すのに用いられる単位は「bps」(Bit Per Second)何ビット(Bit)を1秒間(Per Second)に送受信できるかという意味を持ちます。
例えば1bpsだと1秒間に1bitのデータを転送できます。10bpsだと1秒間に10bitのデータを転送できます。
ビットレート数があがればあがるほど、より細かい音量変化を表せるようになりその音源の中の音が本来の音量で表現されるので定位感などがより分かりやすくなります。
bitとは情報量を表す世界最小単位のことです。
コンピューター上で処理する情報の量・数がいくつあるかを示すときに用います。
この情報量を表す単位は小さい方から順にbit(ビット)<byte(バイト)<KB(キロバイト)<MB(メガバイト)<GB(ギガバイト)<TB(テラバイト)……と続いていきます。
簡単にまとめると…
サンプリング周波数があがるとより滑らかな音に感じられ、ビットレートがあがると音の細かさや音量の細かい変化などの表現力が上がります。
どちらの数値も高い方がより原音に近い音になりますが、いずれかがあがるとしたら、ビットレートのほうが音の大きさに変化があるので、変化を感じやすいかもしれませんね。
さらに詳しく用語や音源について解説された記事が見たい方にはこちら!
コーデックをより詳しく!各コーデックのスペック比較

詳細をご紹介する上で用いる用語をあらかたご説明できたところで、それぞれのスペックをご紹介していきます!
※LDACを除き、サンプリング周波数・ビット数・ビットレートの値はすべて最大値での表記になります。
※AACに関してはAppleからBluetoothコーデックの公表がないのであくまで音源スペックからの参考値になります。
ざっとスペックを並べるとこんな感じです!LC3に関しては、まだまだ情報が少ないため現段階でわかるのはこれくらいといわれています。
では、音質がいいといわれるスペック順に並び替えてみましょう!
【LDAC>LC3>aptX adaptive>aptX HD>aptX>aptX LL>AAC>SBC】
スペックで並べるとLDACがBluetoothコーデックの中では1番音質がいいことがわかりますね!
ですが残念ながら、iPhoneの最高コーデックはAACなので、iPhoneをご利用の方は携帯でLDACを聴くことはできないんです……
LDACで聴こうと思うとAndroid搭載の機器(スマホ・DAC・プレイヤー)を使う必要があります。
次に、遅延の少ない順にコーデックに並び替えてみましょう!
【aptX LL>LC3>aptX adaptive>aptX>AAC>aptX HD>SBC>LDAC】
現段階でLC3のスペックがわからないので保留とするとLow Latency(低遅延)というだけあってaptX LLが1番遅延を感じないといわれています。
最後に
ここまでかなり細かくスペックについてお伝えしてきましたが、実はワイヤレスイヤホンは、スペックがすべてとは言い切れません。あくまで、ご自身が使用する環境や用途に合わせて「必要なスペック」をしっかり確認し、あとはお好みで選ぶこと。それがいちばん大事です!
どれだけハイスペックでも、音や見た目が好みでなければ満足できないこともあります。だからこそ、自分に合ったオーディオを探すことを強くおすすめします。
完全ワイヤレスイヤホンの場合は、加えて耳へのフィット感も重要なポイントになります。そんなときは、ぜひ「e☆イヤホン」で気になるイヤホンを実際に試着・試聴して、ご自身にぴったりのイヤホンを見つけてあげてください。
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