高音の質:50
中音の質:45
低音の質:50
細やかさ:50
迫力:50
音場:50
遮音性:40
音漏耐性:45
BraveryやANOUといったクオリティの高いミドルクラスIEMを発売していることで話題のメーカ See audio のフラグシップモデルがKaguyaです。
次世代を謳う静電ドライバーがなんと4機も搭載されている高音域に目が向きがちですが、Kaguyaの美しい空気感、分離感を支えている屋台骨がこの力強い低音域です。ダイナミックドライバーこそ入っていませんが、それを凌駕するような芯のある太い低音に一聴して心が奪われるでしょう。ズシンと響きながらもカッチリと無駄なこもりのない締りのある低音のため、多くのダイナミックドライバーにありがちな低音の残響がほかの音域にちょっかいを出すといったことがありません。多くのBA機種を扱ってきたからこそ出せる音だなと感心させられました。
中音域は優しく、主張は控えめです。しかし一歩下がるといったことではなく、サ行の刺さりなど不快となる音を軽減してくれているため、柔らかくバンドの中心にあるボーカルや主旋律を心地よく聴くことができるでしょう。
高音域ですが、美しく、凄まじく伸びます。綺羅びやかに何処まででも伸びていく超高音域は、まさしく月に昇るかぐや姫の名を冠するにふさわしいと感じることができるでしょう。4機の静電ドライバーによる、高密度でもひとつひとつの音の粒が見えるかのような高解像の高音域を味わうことができるのは、50万円台の機種でもそうそう見つけることはできないはずです。
また、当機は非常に美しく繊細な音場が魅力的であるため、バランス接続の恩恵を受けやすいといった印象を受けました。ホールでアンプスピーカーを鳴らしているかのような広い音場に加え、緻密で繊細な立体感を楽しむことができます。
付属のケーブルもフラグシップモデルにふさわしい6Nの無酸素銅を用いた銀メッキケーブルとそれだけで商品足り得る品質のものが装着されています。
スイッチジャックのため環境に応じて3.5mm や4.4mmへの変更をコネクタ部分を痛めることなく気軽に交換することができますので、スマホでストリーミングを聴くといったカジュアルな楽しみ方にも対応しています。
私の環境では上記のケーブルを高音域をより綺羅びやかに、美しくするために純銀製のものにリケーブルし、アップグレードを行いました。
イヤーチップは私はSpinfit W1を使用していますが、人によっては少しシャリつくかもしれません。イヤーチップを水月雨の清泉に交換すると豊かな高音を得つつも、刺さりを軽減してくれるはずです。
Kaguyaの力強くも繊細で美しい音色を味わうと、その真髄を堪能するために、相応の音源と環境を用意したくなり出費がかさんでしまうかもしれません。ですがその出費にしっかりと答えてくれる素晴らしいIEMだと思います。
美しく粒立った繊細な高音域と、それを支える力強く芯のある低音域。その二つがIEMとは思えない広大な音場で鳴らされているKaguyaは、まさしくsee audioのフラグシップモデルに相応しく同価格帯のIEMのなかでも頭二つ以上抜けた逸品だと断言できます。