音楽を楽しむ方法は多岐にわたりますが、音質にこだわるならハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)が欠かせません。ハイレゾは、CD音質を超える高解像度の音楽データを指し、より豊かで繊細な音を楽しむことができます。この記事では、ハイレゾの定義や規格、主要な音楽ストリーミングサービスにおけるハイレゾの表記とその違い、そしてハイレゾ音質を最大限に楽しむ方法について、イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホンが詳しく解説します!
ハイレゾとは?
「ハイレゾ」とは、従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源です。圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感を、 よりリアルに体感できます。ビット数の高さと、より細かなサンプリングに よって、楽器や声の生々しさや艶などのディティールがきめ細かく表現されています。
ハイレゾの定義
ハイレゾ(ハイレゾリューションオーディオ)は、「高解像度オーディオ」の略称で、CD音質を超える音楽データを指します。CDの音質は44.1kHz/16bitですが、ハイレゾ音源はそれ以上のサンプリング周波数とビット深度を持ち、96kHz/24bitや192kHz/24bitなどのフォーマットが一般的です。これにより、より豊かな音の表現が可能となります。
高い情報量により、ボーカルの息遣いや演奏者の位置、楽器や声のリアルな臨場感、立体感、表現力を感じることができます。
音の波形は、サンプリング周波数(kHz)と量子化ビット数(bit)で表され、原音(アナログ音)をデジタル化して音楽ファイルに保存。サンプリング周波数が高いほど広い音域を再現でき、量子化ビット数が多いほど微細な音も再現できます。
サンプリング周波数とビットレート
基準とされる”CD”で扱われる「44.1kHz/16bit」というフォーマットは、デジタルオーディオの標準的な仕様です。これはCD音質と呼ばれ、オーディオ信号をデジタルデータとして表現するためのサンプリングレートとビット深度に関する情報を含んでいます。これを詳しく説明します。
44.1kHz (サンプリングレート)
サンプリングレートは、1秒間にどれだけの音声データを取得するかを示します。具体的には、44.1kHzの場合、1秒間に44,100回のサンプリング(記録)を行います。サンプリングレートが高いほど、オーディオ信号の時間的な変化をより細かく捉えることができます。人間の耳は大体20kHzまでの音を聞くことができるため、44.1kHzというサンプリングレートは、ナイキスト定理に基づいて、20kHzまでの音を十分に再現するために選ばれました。
16bit (ビット深度)
ビット深度は、各サンプルあたりの情報量を示します。16ビットの場合、2^16(つまり65,536)段階で音声の振幅を表現することができます。ビット深度が高いほど、音のダイナミックレンジ(最も静かな音と最も大きな音の差)が広がり、より細かい音のニュアンスを表現できます。
24bit (ビット深度)ハイレゾ領域
24ビットのビット深度は、各サンプルあたりの情報量が16ビットよりも多くなります。具体的には、24ビットの場合、2^24(つまり16,777,216)段階で音声の振幅を表現することができます。
ダイナミックレンジ
ビット深度が高いほど、音のダイナミックレンジ(最も静かな音と最も大きな音の差)が広がります。一般的に、ビット深度が1ビット増えるごとに、約6dBのダイナミックレンジが増加します。16ビットの場合、理論上のダイナミックレンジは96dB(16ビット × 6dB/ビット)ですが、24ビットの場合は144dB(24ビット × 6dB/ビット)になります。このため、24ビットの音声は非常に静かな音から非常に大きな音まで、より広範囲の音を表現できます。
ハイレゾの規格と種類
ハイレゾオーディオの主な規格と種類は以下の通りです。
- ・FLAC(Free Lossless Audio Codec)
- ロスレス圧縮形式で、音質を保持しながらファイルサイズを縮小します。
- ・ALAC(Apple Lossless Audio Codec)
- Appleが開発したロスレス圧縮形式で、FLACと同様に高音質を保ちつつファイルサイズを削減します。
- ・WAV(Waveform Audio File Format)
- 圧縮されていない音声データ形式で、非常に高音質ですが、ファイルサイズが大きいです。
- ・DSD(Direct Stream Digital)
- 非常に高いサンプリング周波数(2.8224MHzや5.6448MHz)を持つ形式で、極めて高品質な音声を提供します。
ハイレゾワイヤレス
ハイレゾワイヤレスは、従来のワイヤレスオーディオ技術に比べて、より高音質な音声を無線で伝送する技術です。これにより、ケーブルなしでハイレゾ音質を楽しめます。ハイレゾワイヤレスを実現するための主要な技術は以下の通りです。
- ・LDAC
- ソニーが開発したコーデックで、最大96kHz/24bitの音質をサポートし、990kbpsの高い転送レートで音楽をストリーミングします。
- ・aptX HD
- Qualcommが開発したコーデックで、48kHz/24bitの音質をサポートし、576kbpsの転送レートで高品質な音楽を伝送します。
- ・LHDC(Low Latency High-Definition Audio Codec)
- HWA(Hi-Res Wireless Audio)連盟が開発したコーデックで、96kHz/24bitの音質をサポートし、低遅延かつ高音質な音楽を提供します。
ハイレゾ音楽のストリーミングサービス
主要な音楽ストリーミングサービスもハイレゾ音質を提供しています。以下は主なサービスとそのハイレゾ表記の例です。
※2024年6月時点の情報です
Apple Music
Apple Musicは、ハイレゾ音質を「ロスレスオーディオ」として提供しています。ロスレスオーディオはALAC(Apple Lossless Audio Codec)形式を使用しており、CD音質の44.1kHz/16bitから、ハイレゾ音質の最大192kHz/24bitまでサポートしています。
- ・外部DAC
- 192kHz/24bitのハイレゾ音質を完全に楽しむには、外部デジタルアナログコンバーター(DAC)が必要です。
- ・Apple Music設定
- 設定アプリから「音楽」>「オーディオ品質」を選び、ロスレスオーディオを有効にします。
Amazon Music HD
Amazon Music HDは、ハイレゾ音質を「HD」と「Ultra HD」の2種類で提供しています。HDは16bit/44.1kHzのCD音質、Ultra HDは24bit/192kHzのハイレゾ音質です。FLAC(Free Lossless Audio Codec)形式を使用しており、幅広いデバイスで利用可能です。Amazon Music HDの特徴は以下の通りです。
- ・自動最適化
- Amazon Musicアプリは、自動的に利用可能な最高音質で再生しますが、設定から手動で音質を変更することも可能です。
- ・楽曲の可用性
- 数百万曲のHDとUltra HD音源が利用可能で、カタログも日々増加しています。
Spotify HiFi
Spotifyは、「Spotify HiFi」としてハイレゾ音質の提供を発表しています。具体的な提供開始日は未定ですが、Spotify HiFiはロスレス形式での音楽ストリーミングを提供する予定だそうです。Spotify HiFiの詳細については以下の点が注目されています。
- ・ユーザーインターフェース
- 既存のSpotifyインターフェースに統合されるため、使い慣れた環境でハイレゾ音質を楽しめます。
- ・音楽カタログ
- Spotifyの膨大な音楽カタログが、ロスレス形式で提供される予定です。
その他のハイレゾ対応サービス
他にも以下のようなサービスがハイレゾ音質を提供しています。
- ・Tidal
- Tidalは「HiFi」および「Master」プランでハイレゾ音質を提供しています。MQA(Master Quality Authenticated)形式を使用し、スタジオマスター品質の音楽をストリーミング可能です。
- ・Qobuz
- Qobuzはハイレゾ音質のストリーミングとダウンロードを提供しており、FLAC形式で最大192kHz/24bitの音源が利用できます。
これらのストリーミングサービスを利用することで、高品質な音楽体験が可能となります。それぞれのサービスの特長や対応デバイスを確認し、自分に合ったサービスを選びましょう。
ハイレゾを楽しむ方法
ハイレゾ音質を最大限に楽しむためには何が必要なのか、解説します!
- ・ハイレゾ対応デバイス
- ハイレゾ音源を再生できるデジタルオーディオプレイヤー(DAP)、スマートフォン、PCなどが必要です。
- ・DAC(デジタルアナログコンバーター)
- PCやスマートフォンで再生する際には、高品質なDACを使うことで、よりクリアな音質を楽しめます。
- ・ハイレゾ対応のストリーミングサービス
- 上述のようなサービスを利用してハイレゾ音源を入手・再生します。
ハイレゾについてもっと詳しく知りたい方へ
e☆イヤホン公式YouTubeによるハイレゾについての動画や、専門店オススメのハイレゾ対応製品特集も併せてご覧ください!