突然ですが、皆さま「360 Reality Audio」なるものをご存じでしょうか?
近年、新しい音楽リスニングの形として「3Dオーディオ」に大きな期待が集まっていて、VR(バーチャル リアリティ)の分野でもよく使われるキーワード「没入感」を音の世界に落とし込み、かつてない体験をもたらすコンテンツとして注目されています。
この 3Dオーディオ を大きくけん引しているのが、Apple の「空間オーディオ」と SONY(ソニー) の「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」です。
ここでは、その中でも 「360 Reality Audio」に焦点を当て、その魅力をフルに楽しむ方法をご紹介します!!
【イヤホン・ヘッドホン専門店】e☆イヤホン
e☆イヤホンは、日本初&日本最大級のイヤホン・ヘッドホン専門店です。全国に4店舗(秋葉原店、大阪日本橋本店、名古屋大須店、仙台駅前店)とWeb通販を展開しています。ポータブルオーディオ取り扱いアイテム数は25,000を超えます。お気に入りの1台がきっと見つかるはず!
高音質と臨場感!360 Reality Audio とは?
360 Reality Audio は、対応する音楽配信アプリとイヤホン・ヘッドホンを組み合わせ、立体的で包み込まれるような音楽再生を楽しむことができるSONYの音声フォーマットです。
ご存知の通り、音楽再生はステレオ方式が一般的です。イヤホンもヘッドホンも、左と右にドライバー(スピーカー)が分かれていて、別々に音が鳴りますよね。
しかし、左右に分かれているだけでは、音はまだ平面的なままです。音を立体的に表現するためには、前後左右(サラウンド)だけでなく、上下にも表現の幅を広げる必要があります。360 Reality Audioでは、音そのものに位置情報、動きの情報を持たせ、空間のどこでも音源を配置できる「オブジェクトベース方式」によって、立体的な音響表現を可能にしているのです。
例えば、背後からささやきかけられたり、空を飛び回るヘリコプターの飛行音が縦横無尽に動き回ったり。音の”位置”を再現することにより、圧倒的な没入感を実現します。
映画館などで「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」という言葉を聞いたことはありませんか? ドルビーアトモスも同じオブジェクトベース方式によって、現実世界にいるようなリアルな音響空間を実現する技術です。しかし、ドルビーアトモスで表現できるのは、前後左右に加え”上方向”のみです。
360 Reality Audio は、さらに”下方向“の位置情報を追加し、まさに360度、球状の空間に音を配置することができます。Apple の空間オーディオはドルビーアトモスをベースとしているので、ここが両者の大きな違いとなります。
従来であれば、こういった立体音響空間を構築するには、複数のスピーカーを組み合わせて設置する必要がありました。360 Reality Audio では、スピーカー(対応する製品のみ)はもちろん、イヤホン・ヘッドホンでも立体音響が楽しめるのです。スマホとアプリさえあれば、場所も時間も選びません。
- ・360 Reality Audio は360度どこにでも音を配置できる。
- ・空間オーディオと360 Reality Audio は似ているようで違う。
360 Reality Audio はどうやって聴ける?
2. 対応したアプリ
3. イヤホン、ヘッドホン
【スマートフォン】
再生するスマートフォンは、iOS、Android どちらでも大丈夫です。また、Android搭載ウォークマンでも再生は可能です。より音にこだわるなら、高音質技術が備わったウォークマンとの組み合わせが良いかもしれないですね。
【対応アプリ】
360 Reality Audio を再生するには、対応する音楽ストリーミングサービスをインストールし、アカウントを作成する必要があります。
対応する音楽ストリーミングサービスは、主にこちらの2つです。
・ nugs.net
※nugs.netは英語ページ、洋楽の配信のみです
2つの大きな違いは「個人最適化機能」をサポートしているかどうかです。おそらく、Amazon Music Unlimited を利用されている方は多いと思いますが、こちらは残念ながら個人最適化機能はサポートされていません。(2022年3月現在)
その一方、Amazon Musicはハイレゾにも対応、Dolby Atmosの3Dオーディオも楽しめるというメリットがあります。楽曲を配信しているアーティストも Amazon Music が断然多いので、今後のアップデートに期待です!
※ 個人最適化機能については後ほど解説します。
【イヤホン・ヘッドホン】
360 Reality Audio は、基本的にどのイヤホン・ヘッドホンでも体感することが出来ます。
ぜひ、こちらの動画をご覧ください。
疑似体感ではありますが、従来のステレオ方式との違いを感じ取れたのではないでしょうか?
通常、頭内に定位するサウンドが、頭の周りのさまざまな位置から鳴る、まさに包み込むような没入感を体験できると思います。
よく分からなかった…。という方、実はもっとリアルな臨場感を実現する方法があるんです。次の項で紹介します。
- ・スマホと対応アプリとイヤホン、の3つがあればOK!
- ・どのイヤホン・ヘッドホンでも楽しめる!
個人最適化機能で一歩先の没入感
「個人最適化機能」に対応する 360 Reality Audio 認定モデルを使用すると、より一層リアルな臨場感を楽しむことができます。
360 Reality Audio 認定モデルの基準は以下の通りです。
1.アプリを使った個人最適化に対応していること
ヘッドホン向けスマートフォンアプリを使い、耳の形を撮影し、聴感特性を解析することで、音場を一人ひとりに最適化します
2.アプリを使った機能最適化に対応していること
ヘッドホン固有の音響特性を360 Reality Audioによる立体的な音場再現向けに最適化します
3.臨場感のある音場体験ができること
当社が定める基準をクリアし、より再現性の高い立体音響を提供します
※ SONY公式ページより引用
個人最適化の設定はいたって簡単。ソニーの「Headphones Connect」アプリとイヤホン・ヘッドホンを接続し、ガイドに従って耳の画像を撮影するだけです。撮影が終わると、個人最適化の為に聴感特性を解析します。ひとりひとりの耳の形状と音響特性が最適化され、よりリアルな音場再現を可能にするのです。
ただ、前項でも説明したとおり、個人最適化機能はすべての音楽ストリーミングサービスで有効化することはできません。個人最適化に対応しているかどうか、アプリ選びの際には基準にすべきポイントです。
SONY製品で実際に聴いてみた
それでは実際に、ソニーの 360 Reality Audio 認定モデル数機種を使って試聴してみます。
▼ 試聴環境
スマートフォン:iPhone (iOS 15.3.1)
アプリ:Amazon Music Unlimited / 360 by Deezer
▼ 試聴に使用した製品はこちら
WF-1000XM4 / WH-1000XM4 (生産終了品)
それでは、ソニーの人気定番モデルである2機種で聴き比べていきます。まずはじめに言っておきたいのは、通常のステレオ再生でも、十分と言えるほどの臨場感と立体感のあるサウンドが楽しめるということ。
これが一体どのように変化するのか……いざ試聴!
……。
先に結論を言っちゃいますが、曲が完全に別物になります。
通常のステレオ再生と比べると、頭内に密集して定位していたサウンドがグッと周囲に広がり、環境の整ったオーディオルームのスピーカーで音楽を聴いているような錯覚を覚えます。
イヤホンズの「記憶」を聴いてみると、曲中に散りばめられたSE(効果音)があらゆる方向から聴こえてくるの感覚が楽しい! 特に、花火がひゅ~っと打ちあがり、上方向から炸裂音が聴こえるシーンは驚きました。
個人最適化した 360 Deezer でライブ音源を聴いてみると、まるで会場にいるかのような空気感がふわっと広がります。その反面、低域の密度感がやや薄くなってしまう印象でした。ガツン! とした迫力を求める場合には、ちょっと合わないかもしれませんね。今後、こういったコンテンツがどんどん登場するでしょうし、その進化に期待したいです。
最初は聴きなれたものとは異なる音空間に戸惑いましたが、じっくり聴き込んでみると、音に包まれるような感覚がクセになります。ちなみに、個人最適化を有効化して試聴してみましたが、アプリによる音の違いはあれど、最適化した方がより音の輪郭がハッキリとして感じます。百聞は一聴にしかず、これはぜひ、ご自身の耳で体感してください。
SRS-RA5000
続いて、360 Reality Audio 認定のスピーカー、SRS-RA5000 で試聴してみます。試聴環境はオフィス内の小さな会議室。
スピーカー1つで本当に立体的な音が聴けるのか……? と、気になっていた方も多いはず。実はこのスピーカー、3つの上向きスピーカー、3つの横向きスピーカー、1つのサブウーファーを搭載した「全方位スピーカーシステム」を採用しています。
さらに、本体横のボタンを押すと、スピーカーが周囲の環境を測定し、音のバランスを最適に補正する「サウンドキャリブレーション」が搭載。設置した場所に合わせて最適な音のバランスに調整されます。
360 Reality Audioの音楽を再生してみると、全方位スピーカーシステムならではの広がりのある音が! 通常のステレオ音源だと、どっしりとした密度の濃い音で、ちゃんとスピーカーから鳴ってるな、という印象でした。しかし、360 Reality Audio だと、まるでスピーカーの存在感が消えかかったような、柔らかく部屋全体を包み込むサウンドが楽しめます。
個人的な印象ですが、スピーカーの性質上音楽だと定位感が曖昧になるため、映像コンテンツの方がこのスピーカーの良さが活きると思いました。サウンドバーと比べて、置き場所がある程度自由なのもいいですね。
最後に
360 Reality Audio は登場したばかりの、まだまだ新しいフォーマットです。今後、様々なコンテンツが 360 Reality Audio に対応すれば、私たちの楽しみ方も大きく広がることでしょう。
映画やゲームなどの映像コンテンツはもちろん、音楽の分野ではこの技術をフル活用した新しいアーティストが出てくるかもしれません! 本当に楽しみですね!
▶ その他、360 Reality Audio 認定製品はこちら
今回ご紹介した商品は、e☆イヤホン各店で試聴可能です! あなたにピッタリな1台がきっと見つかるはず! ご来店お待ちしています。